お客様への想い④

一通の手紙

今から、5年前の2月初旬の暖かい日に私は彼女と出会いました。19才と言う若さなのにその肌と言ったらまるで象の肌。

ステロイドの後遺症で悩んでいる方を多く見ている私でさえ思わず声をあげてしまいそうになるほどその肌は黒く厚く硬くなって皮膚本来の機能を全く失っていました。典型的な重度のステロイドの後遺症でした。

私と目を合わす事も出来なくて、聞き取れないほどの小さな声で4才位からアトピーになり親に連れて行かれてお医者様へ通っていたけれどどんどん酷くなって来たもう医者はいやです。とず~と下を向いたまま。

19才と言えばデート楽しんだり、おしゃれを楽しんだりと楽しい時期なのに彼女の象のようなアトピーは全身に広がってスカートなど絶対にはけない状態でした。

彼女は背も高くとてもスタイルも良いのに全身に広がった象のように黒く分厚い皮膚で自信など全く無くなってしまっていても仕方が無い事でした。

お医者様を信じて治療を続けた結果、眉毛は無くなり皮膚は赤黒く腫れて目を開けるのも大変で痛くてかゆくて夜も眠れ無い毎日では人を信じられなくなっても仕方がないかも知れません。

私は彼女に女性としての喜びや明るさを少しでも感じさせてあげたいと願いました。

しかし、彼女の閉ざされた心はそう簡単には開く事など出来る訳もありません。

私は何故アトピーが発症するのか、どうすればアトピーを軽減できるのかアトピーを改善するためにはどうすれば良いのか等など自分の気持ちの持ち方など時間を掛けて良くお話してから体験施術にかかりました。

自分を責めたりしてはいけないこれから気をつけて食生活や生活環境を自分の出来る範囲で変えて行く努力をして行けばいい等と施術をしている2時間の間も少しでも希望を持ってくれるようにと話を続けていました。

施術終了後、彼女は会員になってアトピーを改善したいと言いましたが彼女の全身に広がったアトピーを改善するためにはとても長い時間が必要である事。

勿論施術費用やローションなどのホームケアーなども使ってもらわなければならないので金額的にも19才では大変なのではないかと思い金額のお話も含め色々な説明をきちんとして冷静に彼女が自分気持ちと向き合ってしっかりとアトピーと戦う姿勢になっていなければいけないと思いました。

彼女に今すぐに会員にならずに一度自宅へ帰り親御さんとも良く相談をして良く考えて心が決まったらもう一度いらっしゃいと彼女に言って帰って頂きました。

3週間が経過した頃に彼女から予約の電話が掛かって来ました。

気持ちは決まりました。どんなに辛くても私はアトピーを治したいです。と言われ私は彼女と一緒にアトピーと戦う決心をしました。

その後、施術を続けて半年位経過して眉毛がはえて来た頃の事彼女がお化粧を教えて下さい。と少しはにかむように微笑んで言ってくれた時の彼女の顔は恥ずかしそうでしたがしっかりと前を向いて私を見つめていました。

早速メイクのレッスンをしてあげる事にしました。

きれいにファンデーションをぬって口紅をさすと可愛い19才の笑顔が鏡に写って私に微笑んでいました。明るい希望にあふれた笑顔でした。少し自信がついて来たようでした。

もっときれいになったらファンデーションと口紅をプレゼントしてあげるねと言うとはいと嬉しそうに大きくうなずいてくれました。

少しだけ自信がついてやっと明るくなって来たと思ったのに、その後彼女を襲って来たさらなる後遺症は白内障でした。
手術が必要なほど白内障は進行していました。

さらに不幸は続きました。白内障のため目が見難く仕事でミスを続けてしまい不当にも解雇されてしまったのです。

何と言う事なのでしょうか?服も買わずに一所懸命にアトピーと戦って来たのにとても悲しくて悔しい気持ちになってしまいました。

不当解雇なのだから労管に訴えればと言うと、彼女はとても落ち着いた様子で治療のため入院して手術しそれから自分のやりたいことを探します。とまっすぐに私を見つめ自信に満ちた言葉ではっきりと私に伝えました。
とても驚きました。めげたり、恨んだり悲しんだりしていなかったのです。

私の所へ通い始めて1年位した時彼女から一通の手紙が届きました。

自分のやりたい仕事がやっと見つかりました。自分が選んだ道を信じて明るい未来のためにがんばって行きます。

東京へ勉強のために行かなくてはなりませんのでエステには通えなくなってしまいましたが今、体調も肌の調子も良いので大丈夫です。
これからも食事や生活習慣に気を付けて悪化しないようにきちんと自己管理を続けて行きます。
今までやさしく私のために一生懸命、心の中までエステをしてくれてありがとございました。と・・・・・・

普通なら白内障と言う後遺症まで併発してそのために会社を解雇されてまさに踏んだり蹴ったりの状態で将来を見つめる事など出来ないはずなのに少し化粧が出来るようになり体の具合や肌の状態が改善されて来た事がこんなにも勇気と希望を持って明るく前向きな考え方や行動として現れるものなのでしょうか?

初めて会った時にはこんなに明るく元気で前向きな考え方をしてくれるようになるとは思ってもいない事でした。

誠心誠意こころから良くなって欲しいと願いながら行っていた施術が気持ちもケア-していたなんてこころの繋がりを感じさせてくれた事例でした。

今は元気にカイロプラクティックの先生として治療にあたっています。

たった一通の彼女からの手紙が私のこころも暖かく満たしてくれました。この仕事をしていて良かったと思わせてくれました。

もちろん、彼女にありがとう、がんばってねと返事をお返ししました。

綺麗になれるお手入れ方法